転職を考えるとき、ポジティブな理由を伝えましょう。なんて言葉をよく聞くわけですが。「そんなん無理やわ!!」って環境にいらっしゃる方、結構いるんじゃないかなって思うんです。そこで転職理由と退職理由は同じではない。と言うお話。
転職理由と退職理由とは何が違うのか。
現在の職場を「辞めたくなるネガティブな理由」をちょっと考えてみましょう。
- 売上ノルマの無限ループ
- 上司がどうやっても理不尽
- 給料が上がらない、正当な評価なんてねぇ
- 職場の人間関係が修復不可能
- 人間に不可能な納期設定
- 激務すぎて体調がおかしい
- 社風が無理
言い出したらキリないとは思いますが。。
ネガティブな理由は確かに転職の理由ですし、十分すぎるほどの退職理由にもなり得るもの。
ただ大切なのは、「上司死ね」の気持ちよりも「辞めた後にどうやって生きていくか」の方ですよね。
退職理由は現在に対してのもの。転職理由は未来に対してのもの。
「会社が嫌だからという理由だけで会社を辞めるな」という言葉の裏側にあるのは「会社を辞めても人生は続いていく」ということだと個人的には思います。
会社を辞めて、悠々自適に生活できる、お金に不自由しないのであれば良いのですが、多くの場合、次もまたどこかで働き続ける。
ということは。上記の一例で言えば
- 退職理由(ネガティブ): 上司が無理(現在の気持ち)
- 転職理由(ポジティブ): 次の仕事では何を大切にしたい?(未来に何を望む?)
この2点が第3者に納得感があるように伝わる必要がある。
退職理由と転職理由がしっかりと結びついていることが大切になる。
ネガティブな理由のみでの退職は、過去から現在にかけての理由となるので、そのあとの未来で働く自分自身に対しての希望やキャリアという考えを無意識に奪っているもの。
当然、現在が嫌だから辞めるわけで。大切なのは未来に決まってる。優先順位は未来。
ただ、その未来を具体的にどう描いていくか。どんな職場で働けば満足いくのか。そもそも自分は何をしたいのか。満足のいく職場は存在するのか。
これがホンッッッッットに難しいんだなと。
勤め先がブラック企業の場合は生きること優先
もちろん、会社がブラックで、体も心もボロボロで、自分の意思が希薄になりつつある、死ぬかもしれない、と言う場合であれば最優先すべきは自分の命です。先を考える余裕がなくても、優先すべきは退職。
辞めてアルバイトでも派遣でも職を選ばずに働くことはできます。そこでじっくりと療養しながら自分がどうしていきたいのか、どんなキャリアを描いていきたいのか、考える時間を取ることは本当に大切。
余談ですが、僕は前職が「好きで向いている仕事だったけど、様々な黒い部分を目の当たりにしてメンタル面での体調を壊し働き続けることができなかったため、キャリアを捨てて、生きる選択をしました。
これまでの業界経験が98%くらい活かせていない環境で働いていて、仕事に面白さややりがいは1ミリもなく、いかに仕事をサボるかしか考えない上司に腹が立ってばかりだけど、それでも前職を辞めたことに後悔はしていないし(というより死ななくて本当よかった)約9ヶ月かけてやっと前を向くことができるようになった。
だから、大丈夫。幸せな明日を生きようぜ。
ネガティブな退職理由は期間を区切れば耐えられるものか
話を戻します。
例えばネガティブな理由から「あと1年で解放される」と考えてみて、耐えられそうですか?
もし耐えられそうなら今はまだ会社を辞める時ではないと思います。
- 1年後、2年後、将来、どんなことをしてみたいか
- どんな人間でありたいか
- 何をしている時に時間を忘れて没頭できるか
- 自分が他人と比較してどんな強みを持っているか
これらを通勤電車の中でも、仕事の傍でも、休憩時間でも、ちょっとずつ考えてみる。
僕は理想論者でもなく、むしろ超現実主義者です。はっきりと現実を認識してできること、できないことの線引きをした上でどう行動していくかを考える人間。
だからこそまず、人生がどうなれば満足感や幸福感を得られるか、という土台となる希望や夢を真剣に考えてみてほしい。この人手不足のご時世で、転職は難しくありません。難しいのは本当に満足のいく職場にたどり着くことです。
退職理由≦転職理由となる転職を目指すこと
上記のように考えて、納得のいく答えにたどり着いたら、あとはその職場を探すだけの状態になります。そうなった時に初めて「失敗しない転職もしくは成功した転職」にたどり着けると思います。
本当の転職理由(未来に望むこと)は何?
- 年間休日などの労働環境?
- 年収UP?
- 長期休暇や働き方などの福利厚生?
- プロとしての技術?
- これまでの経験や実績を活かす?
- 持って生まれた長所や能力を活かす?
- 経験や能力にさらに磨きをかけてできることを増やす?
その中で、企業側から見た際にあなたを採用することでメリットになることをメインに転職理由を組み立てていきます。
年収や年間休日数、女性の働き方、副業の可否などの福利厚生ももちろんポイントにはなりますがあくまでもサブ。本気で思っていても伝えることのメインは「何がしたいか、何ができるのか」です。24時間のうち8時間、年間休日120日換算で240日労働として1920時間=丸80日。結構な時間です、働いてる時間ってのは。
転職理由が退職理由を上回る状態になったときに初めて企業も求職者もハッピーな状態になれる。
会社の利益と、個人の利益が合致する状況を目指すことを意識してみてください。
退職理由を人に伝える時に大切なのは客観的事実のみを伝える、ということ。
では、現職を退職しようと思ったキッカケになりそうなことは何でしょうか。
具体例を踏まえて少し見てみてください。
仕事をサボってばかりの上司がいて、自分の仕事に加えて彼の仕事もさせられて残業する一方、その上司はさっさと帰宅している。
営業と言いながら外でサボり、病院と言いながらサボり、何かトラブルが起きれば俺のせいじゃない、と責任逃れ。
忘れ物も多く、顧客からの依頼も「忘れてた」の一言で片付ける。顧客からのクレームを受けるのは当然上司でなく、自分。
その分の残業代は認められずイライラもピーク。
おまけに人事権はその上司が持っている。年功序列の会社で勤続年数が能力や仕事そのものよりも重視される。
だから、会社に現状を伝えても対策どころか聞く耳すら持ってくれない。
みたいな状況だとします。
こんな状況を人に話す時、どうしても「あの上司が本当にクズで」という話をしたくなるんですよね。理解、共感してもらいたくて。
その話す相手が家族や友人なら良いのですが面接、もっと言えばビジネスの相手には伝え方を選ばなければならない。その話をどう捉えるか、信じるか信じないかを決めるのは相手だからです。
怒りを抑えて客観的に短く、数字を踏まえた事実のみを伝えるんです。
「仕事をサボって責任逃れしている上司を5年以上放置し続ける会社に見切りをつけました。もっと自分の能力を活かせる環境で働きたいと思い転職活動を始めました。」
「なるほど。差し支えなければもう少し詳しくお話頂けますか?」
と聞かれれば具体例を伝えればいいですし、
「わかりました。」
で、終わるならそれ以上話す理由はない。
ただ大切なのは、その具体例を言語化しておくこと。同じ時間を過ごしていない、同じ環境を知らない人には想像以上に伝わっていないもの。
上記の例が本当なのか嘘なのか、決めるのはこれを読むあなたです。
まずは飾らずに素直な気持ちで言葉に書き出していき整理しておくことで、他者に伝わる情報に書き換えることができます。
目的は共感を得ることではなく、事実を伝えること、だと意識しておきましょう。
いつでも行動に起こせる準備をしておくべき理由
もちろん、今の職場が最高で、何不自由なかったとしても職場を移ることは頭の片隅にでも置いておいたほうが良いと思います。
予期せぬ出来事がいつでも誰にでも起こる可能性があるからです。
もうすぐ役員につく、と言う状態で、ある日突然解雇された40代の先輩を知っています。彼には家族がいました。退職金をもらったとはいえ、そのあとどうするかと言う問題があることは言うまでもありません。
順風満帆だと思っていた会社だったが債権を回収仕切れず倒産した方にもお会いしたことがあります。
能力の有無に関わらず、変化は誰しもに起こりうること。その変化がどれだけ理不尽なものであったとしても現実は事実だけを突きつけてくる。
所属する会社が変わってもいつでも働ける技術を持っていることは本当に大きな資産だと思います。
まとめ
退職理由:現在の職場を去る理由。ネガティブ可能、ただし客観的に伝える必要あり。
転職理由:未来の職場に望むもの。ポジティブな未来を。これから何がしたいか
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