転職を検討する際に、「残業10時間・年間休日125日・完全土日祝日休み」と言った労働環境的な要素を重要視して実体験です。
仕事や業界について
道路付随物(ガードレールやら看板やら)関連の会社。役所管轄の製品を扱って、建設系の会社に卸すこともあれば、役所に直接卸すこともあります。ここで営業事務、経理事務をしています。
仕事内容自体は難しいものではない
日中はほぼ会話することなく、黙々と顧客対応や伝票、見積など書類作成、手書き運用書類のデータ化Excel化、図面のレイアウト作成など。
後述しますが大変古風な体質なので年配社員の方々にメールの送受信方法・サーバー内ファイルの整理整頓方法・Excel関数まで業務に必要なPCまわりの手ほどきなども行います。
忙しいときと暇なときの差が激しく、忙しいときは10以上のマルチタスクをこなす一方、暇なときはマジですることなくProgateで勉強したり、1時間鼻ほじってたり。
営業さんに年間予算はあるけれど、完全ルート営業で、予算を厳しく詰められることはほぼありません。
役所領域は一生安泰?
安泰かと言われれば疑問符はつきます。まず役所向けの仕事ではあるけれど母体は株式会社。
これから先の日本は人口減で間違いなく税収は減る。地方なら尚更。当然役所予算の割振りも変えざるを得ないだろうし、加えて災害の復興費に予算を充てるなら削減部門も出る。
その削減部門の役所予算で食ってる民間企業は新しい方向性見つめないと潰れる。別事業やってて体力あれば耐え忍ぶことはできるとも思うけれど、実際に取引先の先の先くらいが潰れたり、ってのはあります。
風土について
一般企業から役所寄りの仕事に転職したときのカルチャーショックから書いていきます。1年以上勤務した今でも感じることです。
昭和へのタイムスリップかと思うほどの時代錯誤感
- 社内、業界平均年齢は50~60代
- 平均勤続年数15〜20年選手が沢山いる
- 尊敬するほどの他責思考選手も沢山いる
- 能力よりも人間関係構築力
- 部下が実務の8割を背負っている
- 年功序列、評価基準は勤続年数
- 未来志向や、生産性の概念がない
- 平日にゴルフコンペ、そのために平日に打ちっぱなしにいく上司
- 接待交際費は15万円/月
- 採用面接は1発限りの1人30分。面接官は一度に5人。
- 採用のミスマッチは常日頃。
- 業務内容は口頭伝達が基本、マニュアルなんて存在しないぜ。
- 業務連絡、共有の文化もないので情報の認識齟齬が多発。
- 結果、現場はカオスだけど改善はしない(阻止される)
- 出勤簿に印鑑を押して勤怠管理
- ITリテラシーは低め
- メール画面がFAXで送られてくる
- 20年前に完成した、バージョンアップ不可能なデータベースが社内メインシステム
いくつか事例をピックアップしますね。
なぜ彼はメール画面をFAXするのか
メール画面が紙に印刷されてFAXで送られてきます。(ネタかと思ってました)用件はメール本文として手打ち入力されているけれど、加えて手書きで文字も書いてあります。初めて見たときの衝撃は今でも鮮明に覚えています。
1年もたてばよくわかります。返信のために途中まで入力していたが面倒になり、途中で手書きに切替えFAXしたという経緯。なるほど、携帯大手3キャリアがスマホ教室をやるというのはそういうことか。
出社すらしない支店長
所属とは別の支店の話ですが、支店長が1週間のうち1日も出社せず(出社扱いにはしてる)全ての業務を部下に任せているという支店があるそうで。本部が把握はしていないようですが、仮に把握しても動かない可能性は高いんじゃないかと思います。(自分管轄の面倒ごとを増やしたくない人が本社にはうじゃうじゃいるので)
勤怠履歴は出勤簿の印鑑のみですし、中々の無法地帯っぷり。会社組織としての機能は失われているようです。
コミュ症入社
自分からわからないことを質問できない、こちらから質問するまで発言すらできず30分でも1時間でも待ち続けるような後輩くんがおります。書類作成させれば、間違ったまま顧客に送っちゃうし、同じミスを冗談抜きに8回くらいは平気でやっては怒られ続ける、中々なハイレベル。ちなみに営業、もうすぐ30歳。こんなのを入社させてしまうものか。おまけに教育制度がない。誰が面倒みるん?あ、僕ですね。わかりました。はい。
人間関係について
根は悪い人ではないけれど、仕事としての人間関係は最悪だなーと日々思います。
仕事へのスタンス
- 基本的に仕事をしたくない人(仕事を直属の部下にマジに丸投げする、その仕事を一生懸命やってる部下を横目に助けることなく定時で帰る上司)
- 自分の責任を取りたくない人たち(ミスに対しては改善策でなく延々と言い訳。「俺は悪くない」が口癖。それで40代後半で改善が難しいです)
- 新しいチャレンジを決して受け入れられない。
お前本気でそんなことすんの?
みたいなスタンスで仕事をする人たちの中で不備の出せない書類扱う。改善意思のない上司にイラついて。顧客に迷惑かけるから代わりに仕事を巻き取って。巻き取られているのに一切業務遂行能力を身につけようとはしないその姿勢にまたイラついて。けれど決してイラつきは表に出さない。小さな職場の空気が凍るから(愚痴すません)
今までの職場でも癖のある奴は当然いたけど、それでも仕事には一生懸命だったし
チームで協力して達成しよう!
みんなで頑張って早く帰ろう!
的な雰囲気はある職場だったのでこの「自分がラクするために他人に仕事を投げるし、それを見てみぬ振り」的な職場は新鮮で、驚きに満ちていました。
これがお役所仕事か…
どんな人が向いている?
仕事にやりがいや楽しさを求めず、固い仕事を安定的にしたい方には向いていると思います。逆に、前向きに明るく仕事したり、新しいことに挑戦したり、理詰めで物事を考えたり、しっかりと自分の意見を持つタイプの人は入ってはいけません。
また、狭い世界なので社内社外問わず、同じ人とずーーーーっと関わり続ける必要があり、その対処能力は求められます。(入社10年目の、引くぐらいに業務処理能力のないお局さんの機嫌を上げることから僕の素敵な朝はスタートします。馬鹿らしくてもニコニコ笑顔がいちばん!)
(事務職全般に言えるかもしれませんが)
- 心情を察することのできる人
- 社内空気の維持能力がある人
- 自身の感情を殺す能力のある人
は上手くやっていけるだろうと。
休みについて
で、皆さま気になる「定時帰りは存在するのか」ですが、存在します。残業はあって1日30分〜1時間程度のもの。完全土日祝休み。年末、お盆は大体連休。2019年4月からの年最低5日の有給消化義務も守られています。
これは人生初の経験でした。社畜的1日15時間勤務、目標や納期など常に何かに追われながら分単位のスケジュールで忙しく働いたことしかない人間から見ると「こんなに緩くていいのか」と思う点は否めません。また思うわけです。
これがお役所仕事か…
ただ、その緩さに染まってしまったら社会人としての成長も止まるとも思う。自律できないと本当にポンコツになると思います。
年収について
年収は順当に上がって支店長クラスまで行けば600万〜800万円程度かと推測。ただ、上の方にいる方々が定年退職してポジションが開けばそこにスライドで昇進していくような仕組みなので、(再雇用制度もありますし)入社して数年は昇給はないです。また能力での昇進もあり得ないので穏やかに日々を耐えしのぶしかなさそうです。
会社幸せ?
個人的な感覚でしかないのですが、人間関係にどうしようもなく腹が立つことを差し引いたとしても、
- 労働基準法を遵守する姿勢及び実績がある
- 自由に発言できる
だけで十分幸せだなと思います。(前職は社長崇拝のカルト的職場だったので)
カルトよりは幸せ
前職はパワハラセクハラ的な目に見えるタイプのブラックではなく、マインドを巧みにコントロールしようとする離職率40%超の少し特殊な職場でした。
↑は言いすぎだけど
↑結構納得。
自分たちが関わる事業、所属する会社は本当にすばらしいものだと錯覚させ、仕事と遊びの定義をあやふやにして、居心地の良い空間をつくりだし、ワーカホリック気味に働くことを従業員に選択させる。慣れてきたら従業員ひとりひとりが感じる個性を否定し組織の考えを植えつけるような。
あの地獄と比べれば。多少のイライラには全て耐えるよ。
ただ、転職は考える。
人間関係に気をつかって、間を取り持って。大切なことだけど、この環境にいてこれ以上何を得ることができるのだろうか。前職と比べてそれを考えられる心の余裕があるあたり、今の会社には感謝。
ただ自ら考えず、能力を身につける努力もせず、怠慢に責任逃ればかりするような大人ではありたくないので。未来に希望も展望もない。毎日なんとなく悲しい気持ち。
というわけでしっかり準備して次へのステップとさせていただきます。次の職場で労働環境が守られているかどうかは、しっかり見定めないと外すなぁ~。何かを得るために、労働環境を天秤にかけなければならないのがわが国の転職活動だからである。
役所向けの会社に転職したいなら
というわけでかなりストレートに書き殴ってまいりましたがそれでも「こういう会社を探したい!という方には探し方をお伝えします。そもそも時が止まってしまったような職場なので基本は
ハローワーク+有料求人サイト
です。ただハローワークはブラックを引く率も中々に高いので軽く眺める程度にして
- リクナビネクスト
- マイナビ
- type
と言った、万人が知るような大手所に登録して、2週間に1度「役所」「公」と言ったキーワードで検索しながら募集が出るのを待つのが良いです。
という訳でまとめ。
- 役所相手の企業は良くも悪くも古風な日本的体質が残っている可能性が高い。
- その古い体質とピラミッド構造を気にも止めない人なら大丈夫!
- 年間休日「のみ」を取りにいくならアリかもしれない。
- ただ、そのかわりあらゆる理不尽とイライラに耐えることを事前に考えておいてくれ。
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