SEO担当者は実際にどうPDCAを回しているのか、WEBサイトの改善とはどんな作業イメージなのか。一例として参考にしてみてください。
検索したユーザーの行動を分析する
まず、下記の画像を見てください。これは検索エンジンを利用してサイトに訪れたユーザーの動きを可視化したものです。
ドライヤーが欲しいAさんは「ドライヤー おすすめ」と検索エンジンに入力し、表示された検索結果の中から(知りたい情報が書いてありそうな)サイトをクリック。そこから良いドライヤーを発見したのでそのまま購入しました。
翌日、売上をチェックするあなたの目に「ドライヤー1件」の表示が。
やった。。。ドライヤー売れたお!!
売上が上がって喜ぶのもつかの間、SEO担当者であるあなたにはミッションが言い渡されます。
このドライヤー何で売れたの?説明して?明日の12時までに。
え。。あと12時間しかないじゃないちょと待て。。
ドライヤーを購入したAさんがどこの誰なのか、当然あなたは知りません。ですがこのAさんが購入に至るまでの道筋や背景を知ることができれば、同じドライヤーをもっとたくさん売ることが可能になるかも知れません。
SEO担当者がやることは
- ユーザーの動きを正確に定点観測した上で分析すること
- より効果を高めるためにどこを改善するか、検討すること
- 検討した結果(=施策)を実装すること
- 検証できるデータがたまるまで待つ
- 1.に戻る
という一連のPDCAサイクルをまわし続けることでサイトの目的(例:売上UP,アクセス数UP,資料請求UPなど)に近づくことです。
ひとつひとつ見ていきましょう。
C:ユーザーの動きを正確に定点観測した上で分析すること
まずはユーザーの辿った道筋を観測可能な状態を作らなければなりません。観測、および分析はPDCAの”C”に当たりますがここが1番の要です。というのも各矢印部分の指標を取るためには様々なツールが必要になるのですが、正確な観測は非常に難しいです(完全な分析はほぼ不可能なのが実情です。。)先ほどの例で言えばそもそもAさんが「ドライヤー おすすめ」と検索したことをどうやって知るのか。
確かに。言われればそうかも
Aさんが検索結果から自社サイトに訪れる矢印はGoogle Search Console(サーチコンソール)と言うツールで、サイト内でのAさんの動きはGoogle Analytics(グーグルアナリティクス)と言うツールで、といったように「どのポイントを分析したいのか」によって使用するツールが異なるため、図のどの矢印部分のデータが必要なのか、そのためにはどんなツールが必要なのか、を観測者自身がしっかり理解しておかなければなりません。SEOに必要なツールは以下のページを参考にしてみてください。
ある程度の規模のサイトであればデータ自体は膨大に存在するため、そこから必要な数字のみを抽出する必要があるため、Excelの関数などを使用出来ると作業としてはグンと楽になります。また、ここでKPIと言う概念が出てきますので少し見ていきます。
KPIについて
KPIとは(Key Performance Indicator)の略称で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。(がこう言う横文字が僕は苦手なので簡単に言うと)サイトの目的達成のために必要な指標のことです。
WEBサイトの目的を「月間売上100万円」だとします。そのために必要な指標が例えば
- サイト訪問ユーザー数:10,000人
- そのために必要ないいね!数が5,000
- そのために必要な被リンク数が100
- そのために必要な検索キーワードが「〇〇」
- そのために必要な…
といったものだとします。「その数値を達成すれば目的に近づける」といったプロセスの数値化です。サイトの分析を行う際には「どんな指標(=KPI)を分析の基準にするのか」を事前に決めて、測れる準備をしておくことが大切です。実例としては
- 検索順位(狙いたいキーワード順位、取得キーワード数)
- CTR(検索結果からのクリック率)
- トラフィック(オーガニックなのか、内部遷移含むのか)
- CV(売上、資料請求など)
- いいね!の数
といったモノが挙げられます。何をKPIと置くかは自社の状況や、サイトの目的によって選んでいくと良いです。
事実のみに目を向けること
データを考察した結果、Aさんはサイトの中の複数のページ(計5ページ)を巡回していました。見たページの内訳としては様々なメーカーのドライヤーを比較した結果、商品を購入していたことがわかりました。
- メーカーAの製品性能ページ…①
- メーカーBの製品性能ページ…②
- メーカーBの口コミページ…③
- メーカーCの口コミページ…④
- メーカーDの製品性能ページ…⑤
上記のような内容だったとします。分析の際に大切なのは事実のみを並べること、です。Aさんの足跡のみを追いかけ続けることが大切です。
A:分析結果を踏まえ、どこを改善するか検討すること
分析の結果を見ながら「もっと伸ばせそうな部分はないか」を探りにいきます。ここはPDCAの”A”に当たります。
例えば
- ①のページを改善するべきか
- ②のページを改善するべきか
- それとも一切読まれることのなかった⑥や⑦といったページを改善するべきか
- ページ単位での改善を行うべきなのか
- ページとページをつなぐ部分を改善すべきなのか
- 今回は特に改善は必要ないのか
考えることは山ほど出てきます。Aさんは購入してくれているから今回の分析は成功事例の分析です。良かった部分を探していくことが別の成功例を掴むキッカケになりそうです。
P:仮説を立てること
ここからAさんが購入した理由を仮説立てしてみます。PDCAの”P”に当たります。
- ①のページ内容がAさんが知りたいことを全て記載した、惹きつける内容だったかもしれない(セッション時間の長さから推測)
- ①から②へのページ移動がわかりやすいものだった。表示速度も早くストレスがほとんどないのが良かったかもしれない(PageSpeed Insightsで測る)
- ③に記載してある口コミ内容がとてもリアルに映ったのかもしれない。
- ①のページにAさんが訪れたのは検索キーワード「メーカーAドライヤー 特徴」だったかもしれない。
といったように事実をベースとして、Aさんの行動や思考を考察していきます。完全な事実に辿り着くことは難しいかもしれませんが、考えられる仮説を可能な限り出して納得感のあるモノを出せると次に繋がります。
上記の仮説のうち、「ページ内容が良かった」点が購入に至った最も大きな理由になり得る、という結論を得たとします。
D:仮説をサイトのページに実装し、検証できるデータがたまるまで待つ
最後にこの仮説を実装します。「施策」と呼ばれるものだったりします。PDCAの”P”に当たります。
ページ内容が良かったという結論を得たこの成功事例を「ドライヤーのページだけでなく冷蔵庫のページにも当てはめて」冷蔵庫ページを改造します。ドライヤーページの構成を真似しつつも、新しく冷蔵庫ページを修正します。修正後はその結果が出るまで一定期間置いておきます。結果が出たら、再度C:定点観測に戻ります。
このサイクルを繰り返していくことがSEOにおけるPDCAサイクルの一例です。
まとめ
WEBサイトのPDCAサイクルは目的によって行う内容も分析も異なってきます。サイトの目的に沿ったKPIの設定と施策の選定がとても大切になります。
実際は「期間1ヶ月での比較の結果、「〇〇」のキーワードで検索結果が10位→5位に。「△△」のキーワードは48位→12位。その間打った施策がAとBとC。大きなアルゴリズム変動は見られず、競合にも大きな変化が見られないため外的要因よりも施策の影響が大きい可能性が高い。また内容的に施策Aではなく施策Bの可能性が高い。結果、トラフィックはトータルで10%上昇、売上には××万円影響した」といったような内容になります。
わかった!Aさんはドライヤーを気に入ったから購入したんだ!
うん、、、そうだけど。。話聞いてた??
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